娘のギリシャ留学 凱旋報告
報告です。昨年9月、妻を追いかけるように家を出た娘が、高校3年を一年休学しての10ヶ月のギリシャ留学から7月3日に無事帰国しました。まずはおかげさまで無事に帰国できたことを、関わっていただいた方、ブログやSNSでお声がけいただいた全ての方々に報告し感謝申し上げます。
娘には留学期間中はブログにて、他愛も無い状況をわずかに報告させていました。本人は体験についてこれからも少しずつ報告したいと思っているようですが、何せ今年高校3年に2学期から復学する受験生。先日まずは高校に報告登校し、またこれから奨学金をいただいた方々への報告書、留学支援団体での帰国後ガイダンス参加を控えバタバタしていて、帰国のブログ挨拶ができていない状況なので、私の老婆心ですが状況の報告だけさせていただきます。
まずは特にホストファミリーの皆様には留学プログラムでの慣例はありませんが、思わずお礼の手紙を差し上げました。今回のプログラムはなんと言っても基本的にボランティアであること。出発時に報告したように、交通費など実費の部分は奨学金の力を借りましたが、ホストファミリー宅での生活は、その尊いボランティアの精神によるもでした。言葉も性格も生活習慣もわからない遠くの国の他人の娘を良くぞおいていただきました。思えばただ家にいるだけではありません。未成年とはいえ、まるっきりの子供でも無く日常の活動をする中、怪我など様々なリスクが責任としてのしかかるのです。何はともあれまずは10ヶ月間もの間、愚女を受け入れてくださったことに、心から感謝を申し上げた次第です。
顔を合わせて直接留学の様子を聞き、一番印象的だったことを報告します。それはギリシャに各国から集まった同級生の2/3、数十人がホストファミリーとの生活が合わず、ホストチェンジを経験していたことでした。中には途中帰国した子もいたようです。人の個々の性格上の問題だけでなくまさに文化的な、また生活習慣の違いとのことです。どちらか一方の問題ではなく、これが異文化の中で、他人と生活をするということ。知識として文化を理解するということ以上の体験であり、留学の真実というか過酷さを物語るものだと思いました。幸い娘は様々な思いをしながらも、ホストを変更することなく最初のホストファミリーの元で過ごせたようで、感謝の言葉を口にしていました。そして一人の日本人として、世界に踏み出す時に必要な心根のようなもののヒントを得たようでした。AFS中間レポート。
どんな善意を持ってしても、互いに分かり合えないことがある。また、基本的な生活を通して他人をいかに理解するか。彼らはまだ、利害関係を持ちビジネスの利益を追求する大人の立場ではありません。学生という立場で文化的背景など予備知識も乏しく、純粋にゼロから人間関係を築くことに苦闘したようです。彼らに様々な考えや感情をもたらしたこの瞬間は、彼ら自身のマイルストーンになるのではと感じました。
また、と同時にこのプログラム期間に今回の訪問国だけでなく、大変さを共有した各国の友達ができたようです。海外を経験できるような裕福ではない我が家の娘にとって、改めて感じる快適な島国日本にいてはできない貴重な機会になったようです。
人は苦境に対した時こそ前を向き、上を向かなければ苦難を越えられません。そして顔を上げた時、前に広がるのは一本の道ではなく、これからの世代の人たちには世界という広大な広さを持つ未来があるだということを、この体験を通じて感じてほしいとも思いました。
人によっては留学中のホストチェンジのような事態は、トラブルだと捉える人がいるようです。学生である以上このような問題に対峙することは、留学という趣旨から言っても大切なことだと思います。留学はバカンスではないので、楽しいことばかりでは当然ないはずです。類い稀な体験と、様々な不自由を乗り越える力を養う機会だと考えています。特に今回の留学プログラムでは、私たち親は、ホストファミリーと娘への直接の接触を極力控えるようにと指導されていました。実は娘とは今の時代です、SNSで情報のやり取りはできました。しかし、ホストファミリーはどのみち言葉もうまく通じませんので、一切接触はしませんでした。この留学は親子ともども成長の機会になったと感じています。
人生、明日交通事故に遭うかもしれません。私は、今あるチャンスは今挑戦しよう考えています。どんな人生を歩んだとしても、誰一人同じ人生を歩むことはないとも思っています。今後娘が復学し、一学年下だった後輩とどのような関係を築くのか、受験を無事に終えることができるのか未熟な私には不安が絶えませんが、留学生を送り出した家族として、稀な経験をさせていただいた以上、しっかりとこれからも娘の成長のステップをサポートできるように頑張りたいと思っています。
なので、娘。これからも、あなたなりにあなたの人生を頑張って。父も母もできるサポートを一所懸命します。
以上です。